制度の解説(特別の料金とは)
2027年3月1日から、OTC類似薬(市販薬と成分などが同じ医療用の薬)のうち、処方箋の「一部保険外療養」欄が ○ の薬は、薬価の4分の1を「特別の料金」として別に払います。
何が変わるか
これまでは、薬の代金(薬価 × 量)を保険の点数にし、その1〜3割を窓口で払っていました。2027年3月1日からは、対象の薬について、薬価の4分の1にあたる額を特別の料金として保険の外で払い、残りの4分の3は今までどおり保険の対象として、その自己負担の割合を払います。
一部保険外療養における特別の料金は、対象医薬品の薬価に4分の1を乗じて得た価格に投薬全量を乗じて得た額とする。
通知 保医発0930第6号(2026年9月30日)第1の3
施行の日は、施行期日を定める政令(令和8年政令第320号)で2027年3月1日と決まりました。
○ か ― かは医師が決める
処方箋に「一部保険外療養」の欄ができ、対象の薬ごとに、特別の料金の対象なら ○、対象外なら ― を医師が書きます。薬局の薬剤師は、○ なら特別の料金を受け取り、― なら受け取りません。この欄の判断をするのは処方する医師で、このサイトの計算は判断をしません。
本制度は、対象医薬品の処方を控えることを意図するものではなく、処方医においては、本制度の対象医薬品か否かに関わらず、引き続き、個々の患者の症状等に応じて、最適な薬剤を処方すること。
通知 保医発0930第6号 第2の1(3)
特別の料金の対象かどうかは、診察のときに医師にたずねることができます(同じ通知で、医師が説明を行うことが適当とされています)。
対象の薬
対象は、要指導医薬品・一般用医薬品(市販薬)と成分・投与経路が同じで、1日の最大用量が異ならない医療用医薬品です。厚生労働省の対象医薬品リスト(2026年9月30日)には 1,042 品目・78 成分が載っています(対象の薬の一覧)。一覧は原則として毎年4月1日に更新され、毎年3月ごろに事前に公表される予定です。
特別の料金の対象にならない場合
通知では、次の場合は一部保険外療養の対象とせず、特別の料金を求めないとしています(原文に近い言い回しで載せます。当てはまるかどうかの判断は医師がします)。
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある人への処方・調剤
- がん、またはがんの治療に関連して生じた状態への処方・調剤
- 指定難病・小児慢性特定疾病(18歳から20歳までの人に限る)、またはそれらに関連して生じた状態への処方・調剤
- 国の公費負担医療での処方・調剤(自治体が独自に行う医療費の助成は含まれません)
- 入院中の処方(退院時の処方を含む)
- 体に負担のかかる検査・処置・手術に伴う処方・調剤(その後14日以内の分に限る)
- 医師が、1年を通じた症状の続き方と治療の続き方を確かめ、長い期間の使用が医療上必要と認めた場合
- 市販薬で認められている効能・効果では対応できない状態への処方・調剤
- 市販薬の使用が特に難しい場合(妊娠している人・妊娠の可能性がある人・授乳中の人が、対応する市販薬をのめない場合)
このほか、薬剤料が包括される在宅の管理料などを算定して院内で処方した場合は、薬剤料が生じないため対象外です。2027年3月1日より前に出された処方箋を、その日以降に薬局へ持っていった場合(リフィル処方箋などの2回目以降を含む)も、施行前の扱いで特別の料金はかかりません。
通知 保医発0930第6号 第1の4・第2の3
計算の決まり
厚生労働省の事務連絡「…一部保険外療養における費用の計算方法について」(2026年9月30日)によります。このサイトの計算も同じ決まりで行います。
A 特別の料金
対象医薬品の価格の4分の1 × 投薬全量。同一の処方又は調剤 (院外処方は同一の処方箋) に対象医薬品が複数あるときは合算した額(院外処方は同じ処方箋の中で合わせる)を、10円単位にします。10円以上なら5円未満の端数は切り捨て・5円以上は10円に切り上げ、10円未満なら10円にします。自己負担の割合は掛けず、全額を払います。
B 保険の対象の部分
薬価から4分の1を引いた「保険外併用療養費の算出に用いる価格」で、薬剤料の点数にします。点数は所定単位ごとで、のみ薬(内服)は1剤1日分、症状のあるときだけのむ薬(頓服)は1回分、ぬり薬・はり薬など(外用)は1回の調剤ごとです。所定単位の価格が15円以下なら1点、15円を超えると10円またはその端数ごとに1点を足します。点数 × 10円がBです。
C 保険の自己負担
B × 自己負担の割合(1〜3割)。事務連絡の計算例②にならい、10円未満を四捨五入します(下の例②の 135円 → 140円)。
患者が払う薬の部分
A + C。窓口では、診察料や調剤の料金なども含めた全体で10円未満を丸めるため、実際の額とは少し違うことがあります。
事務連絡(2026年9月30日)第1・第2・第3、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一 F200・別表第三 区分20
厚生労働省の計算例
事務連絡の別添にある2つの例を、このサイトの計算で計算した結果です(自己負担3割)。どちらも事務連絡の額と同じになります。
例① のみ薬(錠)1日2錠・30日分
薬価16.5円、4分の1は4.13円、保険外併用療養費の算出に用いる価格は12.37円。
- A:4.13円 × 1日2錠 × 30日
- 247.8円 → 250円
- 1剤1日分:12.37円 × 2錠 = 24.74円
- 2点 × 30日 = 60点
- B:点数 × 10円
- 600円
- C:B × 3割
- 180円
- A + C
- 430円
例② ぬり薬(クリーム)25gを2本
薬価11.9円、4分の1は2.98円、保険外併用療養費の算出に用いる価格は8.92円。
- A:2.98円 × 25g × 2本
- 149円 → 150円
- 1回の調剤:8.92円 × 50g = 446円
- 45点
- B:点数 × 10円
- 450円
- C:B × 3割 = 135円
- 140円
- A + C
- 290円
長期収載品の選定療養との関係
対象の薬が長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)でもある場合、○ で特別の料金の対象なら、長期収載品の選定療養の特別の料金はかかりません。同じ薬に2つが重なることはありません。同じ処方箋に別々の薬として両方が入っていると、両方の特別の料金が生じることがあります。このサイトは長期収載品の選定療養の額は計算しません。
まだ決まっていないこと
- 消費税:特別の料金に消費税がかかるかは、2026年末を目途に示される予定です(事務連絡)。示されたら計算と説明を見直します。
- 高額療養費・医療費控除:特別の料金は保険の外の負担のため、高額療養費の計算には入らない見込みです。医療費控除の扱いはまだ確かめられていません。厚生労働省の Q&A などで確かめるまで、このサイトでは断定しません。
- 薬価の改定:薬価が改定されると対象医薬品リストの価格も更新され、特別の料金はその時点の価格で計算します。
日付の流れ
- 2026年9月30日施行期日の政令・省令・告示の公布。対象医薬品リストと計算方法の事務連絡の公表
- 2026年末(予定)特別の料金の消費税の扱いが示される
- 2027年3月1日一部保険外療養の始まり(処方箋の様式も変わる)
- 毎年3月ごろ(予定)翌4月1日からの対象医薬品の一覧の公表